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2010年02月07日

笑える話〜ブログコンテストへの投稿

 今を去ること、およそ25年前。
 私は母校である札幌市内のさる高校で教育実習をした。
 実習期間も押し詰まったさる日。
 その日の帰りのホームルームで。
 手には中身の入っていない授業料袋の束。
 「あー、三浦クン」
 「・・・・・・?」
 静まり返る教室内。
 「三浦クン、いない?」
 ふたたび、沈黙
 「ありゃ、間違った。校長先生の名前…」
 それからは爆笑でした。クラス全体が揺れるほど。
 その袋のオモテには、上に生徒の名前。下に確かに校長先生の名前が。
 笑えた?るんるん
ラベル:授業料の袋
posted by はむじの書斎 at 20:25| Comment(0) | エンタメ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月23日

異界皇子 最終章  明日へ

 白昼夢だった。でないとすれば頭がおかしくなったかどうかだ。
 次々と展開される息をも呑む「物語」に、綾は酔っていた。“感動”したのではなく、インディージョーンズばりの冒険譚とジェットコースター並みの衝撃、そして意外な真相とで。
 一羽のハトが依然として腕に載っている。綾はもはや、それを追いはらう気も失せていた。
 どことなく人間っぽいライオンの貌が見えてきた。
 (アヤ、今のが6年前の事の真相だ。ま、信じるかどうかはお前さんしだいだけれど)
 メッセージは念波で、である。
 (……いや、信じる)
 心なしか、片方しかないライオンの眼がうるんだように見えたのは錯覚だろうか。
 (……いいずらい。だけど伝えなきゃならねぇことがある)
 彼女には悲しい予感が走って、涙腺が決壊寸前になった。
 (そうだ、「もう会えない」ってことだ)
 綾は無言でうつむいてしまう。
 (ここからお前が見えるけど、ずいぶんと何かこう人間でいったら成長したというか、女前になったよな)
 (“女っぽく”でしょ…)
 綾は貌をあげ、クスリとした。
 (おっ、やっと笑ったな。その意気だよ。ところでお前さん、まだ「いじめ」られてるんじゃないだろうな)
 彼女は動作で否定した。頸を真横に三回ふった。
 (そりゃ良かった。でも何だな、人間界もいろいろごたごたしてるようだ。特に6年前の一件では迷惑かけたし、世話にもなった)
 (いいの)
 (家のみんな、元気か)
 (うん)
 (まだ持ってるぜ)と、閻浮はピンク色のマフラーをかざした。
 (ありがとう)
 綾の眼前に急激に靄がかかりはじめた。「あっ」と、引きとめる間もなく、“交信”は、一方的に切れてしまった。

 びくっと肩が動いて、綾は目覚めた。
 腕に載っていたはずのハトはどこへやら。となりの老夫婦もいなくなっている。周囲の雑音が耳にとびこんでくる。噴水前では高校生らしい男子らが、並べた缶の間をスケボーで蛇行してすり抜けていく。なかなかの腕前のようだ。すこし視線をずらすと、芝生では家族連れやアベックが弁当をひろげていた。中には「アーン」とやっている組もあった。
 それに若干嫉妬しながらも彼女はベンチから立ちあがった。頬を伝った何かの跡が気にならないこともなかったが、ふりはらうように綾は半分しか食べなかった焼きトウモロコシを屑かごにすてた。
 綾の去った公園は、初秋の陽が傾きはじめていた。
 


 「異界皇子」1部 連載終了です。
 途中、間の開いたこともありましたが、無事、ここまでたどり着けました。読者のみなさんのおかげです。
 年越し前に2部を書きたいと思ってます。閻浮の、綾の成長を描いてみたい、と思います。
 小説アップはとりあえず、しばらく休止です。ご愛読、感謝します。 では
ラベル:ハト
posted by はむじの書斎 at 13:56| Comment(0) | エンタメ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月22日

異界皇子 最終章 脱出

 すべてが鳴動を開始したさなか、巨大な樽5つがふたりを取り巻き、見下ろしている。
 それらは家臣団らの魂が封入されていたものなのだが、目を瞠る若獅子を尻目に、前王は剣を抜く。一閃とともに風迅雷剣の刀身が碧白く輝き、普段は封じられている力が真一文字に右端の樽に向かった。
 稲妻の力でこっぱみじんになった木材の砕片が飛び散って、もうもうとたちこめた煙が晴れると、そこには磐船があった。
 吐駁はわが子をうながし、席につくと鍵を使って船を始動させた。火矢のごとく天から降ってくる落下物。そして螺旋階段はすでに崩壊をはじめている。船はふわりと浮いていた。大岩をひとつかわす。閻浮は座席で神妙、というより正直びびっていたのだが、彼の父親はなぜか立ちあがる。
 「はーっ」
 気合いに動作が重なった。剣を頭上で回した。
 ひときわ太く、碧い雷電が発生して下方へ向かう。鼓膜がねじれんばかりの雷鳴、加えて轟音   床が抜けた。
 ふたたび席についた吐駁は息子の肩を一度ぽんとやると、吹き出ていく風に磐船ごと身をまかせた。
 虹の緩衝地帯に躍り出た閻浮が目にしたもの。それは炎にくずれ、下方にしずみゆく王城の末路だった。また、上空は七色が波打ってよじれていたが、間もなく周囲と変わらなくなった。

 「オヤジよぉ、脱出したのはいいとして、これからどこへ行くんだ。オレらの世界はもう先がないんじゃなかったのか」
 静かに航行する船の上で息子が尋く。
 「それはちがう。私たちの世界は滅びぬぞ」
 「……?!」
 吐駁の言葉は確信に満ちていた。
 「颶艶に巣食っていたのは、800年も生きてきた爬虫族の長・豸だ。あやつがもくろんだのは、この世界が滅亡するように見せかけて、大挙してわれわれ獣族が人間界に移ったすきに、支配権をうばうことだった」
 「し、しかし現に砂漠化と竜巻はひどかったじゃねぇか」
 閻浮は座席から半分身をのりだした。
 「たぶん豸の妖力でそうなったのだろう。気候を狂わせるとは、並みの力ではできぬ芸当だがな。……だが、親玉が死んで地上は力のない残党ばかりだろう。さて、これからわれわれの地上に戻るとするか。再建のために」
 「あちらに開いた穴はどうなる? また誰か向こうに行っちまう、なんてことはないのか」
 若獅子はやや奥歯にもののはさまった貌をしている。
 「心配はいらぬ。あとは主上様が処置なさるだろう。しかし、また向こうに一番行ってみたいのはお前ではないのか?」
 「い、いやぁ…」
 閻浮は歯切れが悪くなってしまい、ぷい、とあちらを向いた。
ラベル:風迅雷剣
posted by はむじの書斎 at 15:58| Comment(0) | エンタメ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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